ビタミン欠乏症について

病気予防・免疫

「壊血病」や「脚気」という病名を、歴史の授業やテレビで耳にしたことがある方は多いと思います。これらはどちらもビタミン欠乏症の代表例で、実は現代の日本でも、偏った食生活や特定の生活習慣によって、軽度の欠乏症状が起こることがあります。この記事では、ビタミンごとの欠乏症について、症状や原因、現代でも注意したいポイントを整理してみました。

この記事でわかること

  • ビタミン欠乏症とはどのような状態か
  • ビタミンごとの代表的な欠乏症と症状
  • 現代でも欠乏症になりやすい人の特徴
  • 欠乏症を予防するための食事のポイント

ビタミン欠乏症とは

重度の欠乏症は今でも起こりうる

ビタミン欠乏症は、特定のビタミンが長期間不足することで起こる病気の総称です。かつては栄養状態全体が乏しかった時代に多く見られましたが、現代でも極端な偏食やダイエット、特定の疾患、アルコール依存などを背景に発症するケースが報告されています。

「潜在的欠乏」にも注意が必要

病気として診断されるほどではなくても、疲労感・肌荒れ・集中力の低下といった形で現れる「潜在的な欠乏」も少なくありません。こうした不調は栄養状態のサインである可能性があるため、症状が続く場合は食生活を見直すきっかけにするとよいでしょう。

脂溶性ビタミンの欠乏症

ビタミンA欠乏症|夜盲症

ビタミンAが不足すると、暗い場所で目が慣れにくくなる「夜盲症」が起こることがあります。さらに欠乏が進むと、皮膚や粘膜の乾燥、感染症へのかかりやすさにもつながるとされています。

ビタミンD欠乏症|くる病・骨軟化症

ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収がうまくいかず、骨が十分に硬くならない「くる病」(子ども)や「骨軟化症」(大人)を引き起こすことがあります。日照時間が少ない生活を送っている方は特に注意が必要です。

ビタミンE欠乏症

ビタミンEの欠乏は比較的まれですが、脂肪の吸収に障害がある方などでは、神経症状や筋肉の異常が報告されることがあります。

ビタミンK欠乏症|出血しやすくなる

ビタミンKが不足すると血液が固まりにくくなり、出血が止まりにくくなることがあります。特に新生児はビタミンKが不足しやすいため、出生後にビタミンK投与が行われるのが一般的です。

水溶性ビタミンの欠乏症

ビタミンB1欠乏症|脚気・ウェルニッケ脳症

ビタミンB1が不足すると、むくみや倦怠感、心不全につながる「脚気」を引き起こすことがあります。またアルコールの多飲などで重度に不足すると、記憶障害や運動失調を伴う「ウェルニッケ脳症」という重篤な状態になることもあります。

ビタミンB2欠乏症

ビタミンB2が不足すると、口角炎や口内炎、皮膚炎といった症状が起こりやすくなります。エネルギー代謝が落ち、疲れを感じやすくなることもあります。

ナイアシン欠乏症|ペラグラ

ナイアシンが極端に不足すると「ペラグラ」と呼ばれる欠乏症を引き起こします。皮膚炎・下痢・精神神経症状が特徴的な症状とされ、かつてはとうもろこしを主食とする地域で見られました。

ビタミンB6欠乏症

ビタミンB6が不足すると、皮膚炎や口内炎、神経系の不調(しびれ・抑うつ感など)が起こることがあります。特定の薬剤を長期服用している方は不足しやすいことも知られています。

ビタミンB12欠乏症|悪性貧血

ビタミンB12が不足すると、赤血球がうまく作られず「悪性貧血」と呼ばれる貧血症状が起こることがあります。動物性食品にしか含まれないビタミンのため、菜食中心の生活をしている方は特に注意が必要です。

葉酸欠乏症

葉酸が不足すると、赤血球の生成に影響が出る貧血のほか、妊娠初期の不足は胎児の神経管閉鎖障害のリスクにも関わるとされています。妊娠を考えている方は特に意識したい栄養素です。

ビタミンC欠乏症|壊血病

ビタミンCが極端に不足すると「壊血病」を引き起こします。歯茎からの出血や皮下出血、傷の治りが遅くなるといった症状が特徴です。大航海時代に長期の航海で新鮮な野菜や果物が摂れなかった船員に多く見られた病気として知られています。

欠乏症になりやすい人の特徴チェックリスト

以下のうち複数当てはまる方は、食生活を見直すきっかけにしてみてください。

  • □ 極端なダイエットや偏食をしている
  • □ お酒を日常的に多く飲む
  • □ 菜食中心の生活をしている
  • □ 日光を浴びる機会がほとんどない
  • □ 妊娠中・授乳中である
  • □ 高齢で食事量が減っている
  • □ 特定の疾患で栄養吸収に問題がある

ビタミン欠乏症一覧表

ビタミン 代表的な欠乏症 主な症状
ビタミンA 夜盲症 暗所での視力低下
ビタミンD くる病・骨軟化症 骨がもろくなる
ビタミンK 出血傾向 出血が止まりにくい
ビタミンB1 脚気 むくみ・倦怠感・心不全
ナイアシン ペラグラ 皮膚炎・下痢・精神神経症状
ビタミンB12 悪性貧血 貧血・しびれ
葉酸 巨赤芽球性貧血 貧血・胎児への影響
ビタミンC 壊血病 歯茎の出血・傷の治りが遅い

欠乏症を予防するための食事のポイント

主食・主菜・副菜をそろえる

特定の栄養素だけを意識するよりも、バランスの取れた食事を基本にすることで、多くのビタミン欠乏を予防できます。

極端な食事制限を避ける

短期間でのダイエットや、特定の食品群を極端に排除する食事法は、栄養バランスを崩しやすい傾向があります。長く続けられる食事内容を意識しましょう。

気になる症状があれば医療機関へ

欠乏症が疑われる症状が続く場合は、自己判断でサプリメントに頼るのではなく、医療機関で相談することをおすすめします。

まとめ

欠乏症の代表例 壊血病・脚気・ペラグラ・くる病・悪性貧血など
なりやすい人 偏食・飲酒習慣・菜食中心・妊娠中の方など
予防のポイント バランスの取れた食事を基本にする

ビタミン欠乏症と聞くと過去の病気のように感じるかもしれませんが、現代の食生活でも十分に起こりうるものです。まずは自分の食事を振り返り、特定の食品群に偏りすぎていないかチェックしてみてください。

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参考文献

  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
  • 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
  • NIH Office of Dietary Supplements(https://ods.od.nih.gov/

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